16 光源氏、若紫を見初める

 帖は「若紫」に入ります。18歳の源氏は病気です。「瘧病(わらはやみ)」とあります。マラリアみたいなものだったようです。源氏は北山の寺にいる行者のところへ治療に通います。そこで幼女といっていい若紫(のちの紫の上)を見初め …

15 怪異に支配された街

 平安京は長安をモデルに設計された、当時の最先端都市です。「近代」都市と言ってもいいでしょう。ご承知のように条坊制によって合理的にデザインされています。その京の都はまた、さまざまな怪異に支配された街でもありました。  「 …

13 空蝉、光源氏を振り切る

 一夜の契りはあったものの、以後、空蝉は源氏の誘いに応じません。かつて帝から宮仕えを勧められたほどの女性です。それを自ら断ったという経緯がある。小柄で弱々しくも見える空蝉ですが芯は強いのでしょう。女としての矜持をもって生 …