『帚木』の後半は、源氏がふとしたことから「中流の女性」である空蝉を見出し、彼女と一夜の契りを結ぶ場面へと進みます。暇を持て余した男四人(源氏、頭中将、左馬頭、藤式部丞)が、宮中で女談義に夜を明かした翌日のことになります …
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10 結婚してはみたけれど
小津安二郎の映画に『生まれてはみたけれど』や『大学は出たけれど』という「although」シリーズとでも言うべきものがあります。これに倣えば、光源氏の場合はさしずめ「結婚してはみたけれど」といったところでしょうか。 …
9 光源氏の運命
帝が溺愛した更衣とのあいだに、第二子として誕生したのが光源氏です。帝にはすでに弘徽殿の女御とのあいだに第一皇子がいます。順当に考えれば、この第一皇子が皇太子(東宮)の座に就くべきなのですが、あれほど寵愛された更衣の子だ …